Sunday, 4 October 2015

島で使う電力の100%を太陽光と風力で、2種類の蓄電池がCO2を減らす

隠岐諸島は島根県の本土から北へ50キロメートル離れた場所にある4つの島で構成する(図1)。本土からの送電線はなく、電力は地産地消することが 前提だ。基幹の火力発電に加えて太陽光と風力による発電設備が増えてきたことから、離島で再生可能エネルギーの導入量を拡大するための国の実証事業の対象 に選ばれた。


oki_hybrid2_sj.jpg 図1 隠岐諸島の位置と「西ノ島変電所」の所在地。出典:中国電力

 中国電力が4つの中で最も西にある「西ノ島」に変電所を新設して、その構内に2種類の蓄電池を組み合わせた最先端の「ハイブリッド蓄電池システ ム」を構築した(図2)。9月30日から実証運転に入り、今後3年間かけて効果を検証しながら技術的な課題を解決していく。変電所に2種類の蓄電池を設置 して再生可能エネルギーの導入量を拡大する試みは国内で初めてである。

oki_hybrid3_sj.jpg 図2 「西ノ島変電所」の全景(上)、2種類の蓄電池(下)。出典:中国電力

 蓄電池の1種類は容量が大きいNAS(ナトリウム・硫黄)電池で、2万5200kWh(キロワット時)の電力を貯めることができる。一般家庭が1 日に使う電力量(10kWh)に換算して2500世帯分に相当する。この蓄電池から隠岐諸島の全世帯(約1万世帯)が1日のうちに利用する電力の4分の1 を供給することが可能だ。

もう1種類の蓄電池は容量が700kWhのリチウムイオン電池で、NAS電池と比べて充電・放電のスピードが速い特性を生かす。太陽光や風力による 発電設備は天候によって出力が頻繁に変動する。太陽光は雲の通過、風力は風が吹く方向の変化などによって小刻みに出力が変動するため、その変化分をリチウ ムイオン電池で吸収して電力を安定させる(図3)。

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図3 ハイブリッド蓄電池システムによる出力変動の抑制イメージ。出典:中国電力

 一方のNAS電池には昼間に太陽光で発電した電力を貯めておき、夜間に放出することで家庭などからの需要に対応する。太陽光と風力だけでも1日を 通して島内の電力を安定的に供給できる体制を目指す。隠岐諸島では年間のうち需要が最も小さくなる時期には1万kW程度の電力で十分だが、ハイブリッド蓄 電池システムを導入すると太陽光と風力を中心に最大で1万1000kWまで供給できる見込みだ。
 現在までに太陽光と風力のほか2カ所の小水力発電所を含めて約3000kWの発電設備が送配電ネットワークに接続している(図4)。さらに旧・隠岐空港の跡地に建設中のメガソーラーなど合計8000kWの発電設備が新たに加わってくる。

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図4 隠岐諸島の発電設備。出典:中国電力
 
隠岐諸島では主力の電力源として、石油を燃料に使う火力発電所が2カ所で運転中だ。合わせて3万2000kWの電力を供給できるが、需要が小さい 時期には火力発電所の出力を大幅に抑制することが可能になる。中国電力の想定では年間に約1万トンのCO2(二酸化炭素)排出量を削減できて、110万本 のスギが吸収するCO2に匹敵する。
 国内では九州の離島で太陽光発電設備が増加した結果、新規の発電設備の接続を保留する事態が7つの島に及んでいる。隠岐諸島の実証事業が成果を発 揮すれば、全国各地の離島で再生可能エネルギーの導入量を拡大できる道が開ける。ただし課題の1つは蓄電池の設置費用で、西ノ島変電所が導入したハイブ リッド蓄電池システムの構成では約25億円かかる。当面は国の補助金が欠かせない状況だ。

http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1510/02/news016_2.html

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