Sunday 25 October 2015

水素時代を目前に撤退、木質バイオマスによる水素製造が4年で終わる

新出光は福岡県の大牟田市で2011年10月に「福岡ブルータワー」の試運転を開始した(図1)。世界で初めて木質バイオマスをガス化して水素を製 造する商用プラントとして注目を集めたプロジェクトだ。建設費の3分の2を農林水産省の助成金でまかなう国家的な取り組みでもあった。

 新出光の100%出資による子会社「イデックスエコエナジー」が事業化に取り組んできたが、2015年10月15日に撤退を決定した。当初の計画 ではプラントが稼働して6カ月間の試運転を経て、2012年4月に商用運転へ移行する予定だった。新出光によると、プラントの中核技術である「ガス化過程 におけるヒートキャリア(熱媒体アルミナボール)によるタール除去」を実現できなかったことが事業撤退の要因だ。
 福岡ブルータワーの水素製造システムはジャパンブルーエナジー(旧・日本計画機構)が開発した「ブルータワー技術」を採用したものである。原料に なる木質バイオマスに熱を加えてガス化した後に、そのガスから高純度の水素ガスを精製する仕組みだ(図2)。バイオマスから水素を製造できるため、 CO2(二酸化炭素)を排出しない水素製造方法の1つになる。

shinidemitsu1_sj.jpg 図2 木質バイオマスを使った水素製造システム(画像をクリックすると拡大)。出典:新出光

 このブルータワー技術で最大の特徴が、熱媒体に「アルミナボール」を使って水素を大量に含んだガスを精製できる点にある。アルミナボールは酸化ア ルミニウムを直径1ミリメートル以下の球状に作ったセラミックスの1種で、熱の伝導率が高く、石油やガスに含まれる不純物を吸着する性質がある。
 木質チップや下水汚泥などのバイオマス原料を高温に加熱したアルミナボールに接触させると、メタンを主成分にしたバイオガスが発生する。さらに高 温のアルミナボールをバイオガスと水蒸気に接触させて化学反応を起こすことで水素ガスを精製することができる(図3)。ジャパンブルーエナジーが日本国内 のほかに海外でも特許を取得した独自の技術である。

shinidemitsu3_sj.jpg 図3 バイオマスから水素ガスを生成する「ブルータワー技術」。出典:ジャパンブルーエナジーほか
 
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