発電所を新設するとしたらどの発電技術が適しているのだろうか。エネルギー政策で重要な4つの視点*1)のうち、「発電コス
ト」に着目した最新の調査結果によれば、日本国内では「原子力」が最有力だという(図1)。図1では、図左から天然ガスを用いたコンバインドサイクルガス
タービン(CCGT)、石炭火力、原子力、陸上風力、住宅太陽光、大規模太陽光、大規模水力の発電コスト(LCOE、米ドル/MWh)を示した。
29カ国が加盟するIEA(国際エネルギー機関)と31カ国が加盟するNEA(原子力機関)がまとめた「Projected Costs of Generating Electricity 2015 Edition」(以下、報告書)による最新の調査結果だ*2)。
*1) 安定供給(Energy Security)、経済効率性の向上(Economic Efficiency、コスト)、環境への適合(Environment)、安全性(Safety)をいう。
*2) 1981年から約5年おきに調査結果を公開しており、今回は8回目に当たる。
予測をなるべく正確にするため、報告書をまとめるにあたって既存の発電所のデータを集めた。対象となった発電所は22カ国の181カ所に及ぶ(図 2)。対象国はOECD(経済協力開発機構)34カ国のうち19カ国、その他、新興国としてブラジル、中国、南アフリカ共和国を対象とした*3)。
主要な発電技術として天然ガス(17カ所)、石炭火力(14カ所)、原子力(11カ所)、太陽光(38カ所)、風力(33カ所)、水力(28カ 所)を調べており、地熱や海洋エネルギーについても予測値を示している。発電所の出力は住宅用太陽光の3kWから、13.05GWの大規模水力に及ぶ。出 力の開きにして400万倍も違う。
*3) 2011年時点で発電量の多い上位10カ国のうち、ロシア、インド、カナダが含まれていない。
29カ国が加盟するIEA(国際エネルギー機関)と31カ国が加盟するNEA(原子力機関)がまとめた「Projected Costs of Generating Electricity 2015 Edition」(以下、報告書)による最新の調査結果だ*2)。
*1) 安定供給(Energy Security)、経済効率性の向上(Economic Efficiency、コスト)、環境への適合(Environment)、安全性(Safety)をいう。
*2) 1981年から約5年おきに調査結果を公開しており、今回は8回目に当たる。
先進国中心に幅広い発電技術を大規模調査
同調査の目的は、2020年に運転を開始する発電所のコストを予測、各国政府のエネルギー政策を下支えすることだ。省庁を横断するエネルギー・環 境会議(コスト等検証委員会)や経済産業省、資源エネルギー庁はこれまで国内のエネルギー政策を支える基本データとして、同調査の2010年版などを利用 してきた。予測をなるべく正確にするため、報告書をまとめるにあたって既存の発電所のデータを集めた。対象となった発電所は22カ国の181カ所に及ぶ(図 2)。対象国はOECD(経済協力開発機構)34カ国のうち19カ国、その他、新興国としてブラジル、中国、南アフリカ共和国を対象とした*3)。
主要な発電技術として天然ガス(17カ所)、石炭火力(14カ所)、原子力(11カ所)、太陽光(38カ所)、風力(33カ所)、水力(28カ 所)を調べており、地熱や海洋エネルギーについても予測値を示している。発電所の出力は住宅用太陽光の3kWから、13.05GWの大規模水力に及ぶ。出 力の開きにして400万倍も違う。
*3) 2011年時点で発電量の多い上位10カ国のうち、ロシア、インド、カナダが含まれていない。
報告書は220ページに及ぶため、全ての内容を紹介することはできない。まずは技術ごとの発電コストの分布を示す。その後、日本の発電コストが他国と比較してどのような位置にあるのかを紹介する。
図3はいわゆるベースロード電源の発電コストだ。発電所の建設から運営、廃止までの全コストを生涯発電量で割った均等化発電原価(LCOE)を縦軸とした。3種類の技術、CCGT(天然ガス、オレンジ色)、石炭(灰色)、原子力(青色)の値が並ぶ。
左端の3本の棒グラフを見ると、原子力の発電コストが明らかに低い。22カ国全てで、原子力が最も安価な電源であるというのが報告書の結論だ。 LCOEの値は中国の25.59米ドル/MWhから、英国の64.38米ドル/MWhの範囲に散らばる。日本は62.63米ドル/MWhであり、上限に近 い。
だが、中央、右と進むに従って原子力の発電コストが高くなっていく。これは割引率(図1にあるdiscount
rate)を変えて試算したためだ。割引率は将来価値を現在価値に換算するための一般的な方法。左端は割引率が3%と低いときの発電コスト。中央は7%、
右端は10%だ。報告書では原子力が資本集約的であるため、割引率に敏感であるとしている*4)。
黄色い四角で表した中央値(全データの中央にある値、メジアン)を見ても、天然ガスや石炭は割引率の影響を比較的受けにくいことが分かる。報告書では、天然ガスや石炭は燃料コストに依存する比率が高いため、原子力とは異なる不確実性があると指摘している。
大規模に実用化されている再生可能エネルギーのLCOEを示したものが図4だ。どの技術についても最大値と最小値の差が大きいことが分かる。つまり、国や地域によって最適な技術が異なることを意味している。
報告書が特に強調しているのは発電コストが最大値にあるとき、ベースロード電源と比較して明らかに高コストであること。加えて、最小値の場合は ベースロードを一部下回ることだ。特に水色で示した陸上風力が一貫して低コストだ。割引率3%の場合、米国の32.71米ドル/MWhから、日本の 134.56米ドル/MWhの範囲にある。
これに商業規模の太陽光と大規模太陽光が続く。洋上風力は住宅用太陽光と同程度だ。いずれも割引率に強い影響を受けている。
図5はガス火力、石炭火力、原子力のLCOEを5年前の報告書と比較したもの。中央値はいずれも上昇しており、低コスト化へ向かう動きが現れていない*5)。それでも上昇率がわずかであるため、報告書では、「コスト上昇が止まった」と指摘。原子力のコスト上昇が続いているという神話を切り崩す結論が得られたとしている。
*5) 図5、図6とも割引率は10%。EGC 2010の値は2013年の米ドル価値に換算している。
再生可能エネルギーは対照的な動きを示している(図6)。陸上風力(水色)はもちろん、太陽光(全規模)の低コスト化は著しい。5年間で一気に風
力に追い付く勢いがある。報告書では5年前(データ数17)よりも太陽光のデータ数が増えているにもかかわらず、分散が小さくなっていることを指摘。本質
的な変化が生じたとしている。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1509/30/news123.html
左端の3本の棒グラフを見ると、原子力の発電コストが明らかに低い。22カ国全てで、原子力が最も安価な電源であるというのが報告書の結論だ。 LCOEの値は中国の25.59米ドル/MWhから、英国の64.38米ドル/MWhの範囲に散らばる。日本は62.63米ドル/MWhであり、上限に近 い。
図3 ガス火力、石炭火力、原子力の発電コスト(LCOE) 出典:IEA
黄色い四角で表した中央値(全データの中央にある値、メジアン)を見ても、天然ガスや石炭は割引率の影響を比較的受けにくいことが分かる。報告書では、天然ガスや石炭は燃料コストに依存する比率が高いため、原子力とは異なる不確実性があると指摘している。
大規模に実用化されている再生可能エネルギーのLCOEを示したものが図4だ。どの技術についても最大値と最小値の差が大きいことが分かる。つまり、国や地域によって最適な技術が異なることを意味している。
報告書が特に強調しているのは発電コストが最大値にあるとき、ベースロード電源と比較して明らかに高コストであること。加えて、最小値の場合は ベースロードを一部下回ることだ。特に水色で示した陸上風力が一貫して低コストだ。割引率3%の場合、米国の32.71米ドル/MWhから、日本の 134.56米ドル/MWhの範囲にある。
これに商業規模の太陽光と大規模太陽光が続く。洋上風力は住宅用太陽光と同程度だ。いずれも割引率に強い影響を受けている。
進歩が著しい再生可能エネルギー
報告書では再生可能エネルギーの劇的な低コスト傾向についても触れている。図5はガス火力、石炭火力、原子力のLCOEを5年前の報告書と比較したもの。中央値はいずれも上昇しており、低コスト化へ向かう動きが現れていない*5)。それでも上昇率がわずかであるため、報告書では、「コスト上昇が止まった」と指摘。原子力のコスト上昇が続いているという神話を切り崩す結論が得られたとしている。
*5) 図5、図6とも割引率は10%。EGC 2010の値は2013年の米ドル価値に換算している。
図5 発電コスト(LCOE)の変化(ガス火力、石炭火力、原子力) 出典:IEA
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1509/30/news123.html
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