Sunday 22 December 2013

太陽光の42円の買取価格は功罪相半ば

再生可能エネル ギー(以下、再エネ)の全量固定価格買取制度(通称FIT)が2012年7月に導入されてから1年半。直近データでは、13年7月末までに設備認定を受け た再エネの容量は2360万キロワット(kw)、運転開始したものは408万kwとなった。FIT導入前に運転開始したのが2060万kwなので、すでに それを上回る容量の設備が認定されたことになる。
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 ただ、設備認定容量の9割以上が買取価格の高い太陽光発電設備に偏っていることや、売電権利だけを取得し運転開始を意図的に遅らせているケースがあることなど、いろいろと問題点も浮上している。

 ここまでのFITの評価と今後の課題などについて、政府の再エネ推進役である経済産業省資源エネルギー庁の村上敬亮・新エネルギー対策課長に聞いた。

■ 理由なき運転開始先延ばしは認定取り消しへ

 ――FIT導入からここまでの全体的な評価は。

 太陽光については、約3年分と想定していた量が1年で設備認定されたという感じだ。これには税制の効果が大きい。即時償却できる税制が前期末から2年延長されたことで、4月以降も設備認定が大きく伸びている。
 ――買い取り価格が高いうちに設備認定を取って、部材価格が下がるまで意図的に運転開始を遅らせるケースが問題になっている。

 最近、ブローカーの存在が問題視されているが、土地を見つけてくる人と、設備を作る人と、設備を運転する人とがバラバラの垂直分業は世界では当た り前だ。問題なのは、(kw時当たり)42円の権利を持っていて、本当は38円の価格構造でもつくれるのに、何の理由もなく不動産契約や部材発注などの準 備を進めていないようなケース。これは、現状調査を行っている。必要に応じて認定の取り消しも考える。

■ 42円の買取価格の功罪相半ば

 太陽光のマーケットは競争が緩すぎるのではないか、との指摘もある。年間500万円の利益を上げるのにも苦労している業種が多い中、野球場程度の広さの遊休地がたまたまあれば、20年間で億円単位の利益が入る。

 これは功罪相半ばだと思う。功の部分は、電力市場にこれだけ多くの新規参入があったということ。太陽光は本格的な発電事業者ではなくても始められる有望 な技術で、多くの人が暮らしの中のエネルギーを自分の手の中に取り戻すことができる。電力会社も太陽光との多数の接続を通じて“異文化”と接し、自らを省 みることができる。42円という価格がなければこうしたことはできなかっただろう。

 罪のほうとしては、高い国産パネルを使っても設備をつくれるなど、緩さがあること。スタート時はこれでいいが、今後はきっちり引き締めていくべきというのが批判のメッセージであり、真摯に取り組んでいきたい。
 
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20131221-00026908-toyo-soci

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