不動産や住宅メーカーが、家庭内エネルギー管理システム「HEMS(ヘムス)」を活用したサービスに力を入れている。HEMSは太陽光発電などの省エネ
機器とタブレットを組み合わせることで、エネルギーの「見える化」を図ったサービス。東日本大震災に伴うエネルギー不足の問題を受けて普及が進み、これま
では省エネ行動を促すツールとして脚光を浴びていたが、物件の注目度を高める“商品”として新たな役割を担おうとしている。
三井不動産レジデンシャルは12月に完成した全179戸のタワーマンション「パークタワー西新宿エムズポート」(東京都新宿区)にHEMSを導入。三井不動産系の商業施設やグループ会社による各種サービスの提供を開始した。具体的には、HEMSのデータを通じ、キッチンの電力使用量が少ない世帯の場合は外食が多いと判断。三井不動産の居住者向け会員サービス「三井の住まいLOOP」を通じ、レストランの優待を受けられるようにした。また、エアコンクリーニングについても優待する。
三井不動産レジデンシャルのねらいは「楽しい節電というライフスタイルを提案していくこと」(町田俊介・市場開発部主査)。2014年10月に完成予定 の「パークホームズ品川ザ レジデンス」(同品川区)でも同様のサービスを導入するほか、さらに事例を増やしていく考えだ。
大和ハウス工業は戸建て分譲地「スマ・エコタウン晴美台」(堺市南区、全65戸)で、省エネランキングの上位8世帯にカーシェアリングを利用する際の費 用が割引になるという、ポイントサービスを開始した。通常は、10キロの走行で750ポイントを要するが、新サービスを適用した場合、半年ごとの集計で1 位の世帯には1万4400ポイントが付与される。8位までが特典ポイントの対象になるという。
HEMSの利用促進に加え、「電気自動車(EV)を極力利用してもらうことで、省エネ化に加速をつけていく」(脇浜直樹・大阪都市開発部企画部企画グループ長)のが目的だ。カーシェアポイントに要する費用については同社が3年間にわたって負担する予定という。
調査会社の富士経済の調べによるとHEMSの市場規模は、省エネ対策への関心の高まりによって、20年には11年比で約20倍の119億円まで拡大するとしている。
従来、HEMSは、電力消費量の「見える化」や「電力需給ピーク時間の告知」が主だったが、「タブレットで消費電力を見る人も慣れてくると見なくなる」 (不動産関係者)といった課題を抱えている。こうした中、特典が自主的な省エネにどれだけつながるか-。今後の取り組みに注目が集まる。
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