Sunday 20 April 2014

三菱地所、「部分供給」を活用し契約電力の約半分を再生エネに

三菱地所が東京・丸の内の超高層ビル「新丸の内ビルディング(新丸ビル)」で今月から、契約電力の約半分を再生可能エネルギーとする取り組みを始めた。電 力をユーザーに代わって最適に調達する事業を手掛けるエナリス(東京都足立区)と電力契約を締結。
一般電気事業者である東京電力に加え、新電力(PPS= 特定規模電気事業者)からも電力の供給を受ける「部分供給」の仕組みを活用しているのが特徴だ。再生可能エネである木質バイオマス発電やバイオガス発電、 太陽光発電を積極的に利用することで、環境負荷の低減や循環型社会づくりにつなげるほか、東日本大震災の復興支援にも貢献する効果があるとしている。

 新丸ビルは東京駅前にあり、地下4階・地上38階で、高さは約198メートル。大企業のオフィスのほか、飲食や物販などの店舗なども入居。現在の建物は2007年4月に完成した。

 三菱地所が新丸ビルで導入を始めた再生可能エネは、木質バイオマス発電など3種類。

 木質バイオマス発電を手掛けるのは岩手県宮古市の企業、ウッティかわい。間伐材や製材の端材を燃料とし、東日本大震災で被災した同県内の製材工場から燃 料チップを買っている。バイオガス発電はバイオエナジー(東京都中央区)が担当。丸の内周辺のビルなどから出る生ゴミや食べ残しといった食品廃棄物を分 解、回収したバイオガスをガスエンジンで発電している。太陽光発電は三菱地所が発電している。同社が開発するちばリサーチパーク(千葉県佐倉市、千葉市若 葉区)の所有地にメガソーラー発電所を建設、昨年7月から発電を始めた。

 ウッティかわい、バイオエナジー、ちばリサーチパークはそれぞれ発電した電力を再生可能エネ供給専用のPPSである岩手ウッドパワー(岩手県宮古市)に 提供。三菱地所は、東電と岩手ウッドパワーから電力を調達するエナリスとの間で新丸ビルでの電力代理購入サービス契約を締結している。1つのユーザーに対 して2つの電力会社が電力を供給する部分供給と呼ばれる仕組みを活用して、契約電力の約半分に相当する電力を再生可能エネとする流れをつくった。

 被災した工場から購入した燃料チップを用いる木質バイオマス発電は震災復興支援、食品廃棄物を分解するバイオガス発電は循環型社会の構築につながる。三 菱地所が自ら運営するメガソーラー発電所での太陽光発電は自産自消といえる取り組みだ。これは、15年度から運用が開始される東京都環境確保条例・排出総 量削減義務「第2計画期間」での低炭素電力に認可される見込みという。

 新丸ビルはもともと、都環境確保条例の施行に伴い、10年4月から風力発電と水力発電からなる再生可能エネを導入していた。だが、震災発生とその後の深 刻な電力不足を受け、再生可能エネの普及を狙って12年7月に固定価格買い取り制度が始まるなど電力を取り巻く状況が大きく変化。従来の仕組みによる電力 購入が難しくなる中で、今回は部分供給の活用により契約電力の約半分を再生可能エネとすることができた。

 新丸ビルが再生可能エネを積極利用することで、他のオフィスビルにも広がる可能性がある。三菱地所の広報担当者は「まだ具体的な動きはないが、新丸ビルでの実績を踏まえて検討していきたい」としており、今後の取り組みに注目が集まる。(森田晶宏)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140420-00000526-san-bus_all

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